こんにちは、ドールオーナーのcocoです。
新緑の葉が五月の風に揺れる心地よい季節ですね。前回の記事では、外撮影で自分を守るための「30秒の護身術」についてお話ししました。今回は、その30秒の旅を一緒にはじめることになった、私の小さくて愛おしい相棒―シルバニアファミリーの「ペルシャねこの女の子」とのお迎えの物語を、少しだけ個人的な記憶とともに綴ってみたいと思います。
実は、シルバニアファミリーは、私が子供の頃に買ってもらえなかった、ずっと心の奥底で憧れ続けていたお人形でした。
お迎えのきっかけと、大人の姿への違和感
大人になってもシルバニアを愛でる「シル活」という言葉を知り、ずっと気になってはいたものの、お迎えの一歩を踏み出せずにいました。そんな私の背中を押したのは、「シュガーカップスのmimiちゃんを外撮影に連れて行くのが不安」という切実な悩みでした。
当時、ドール界隈では希少なドールの盗難事件などが話題になっており、ドールオーナーにとって自衛が必要な時代が訪れていました。人目を引きやすい外撮影だからこそ、「mimiちゃんの代わりに、カバンの中で一緒にお出かけを待ってくれる、小さくて頼もしい子はいないかしら」と探したとき、思い浮かんだのがシルバニアだったのです。
最初に私がお迎えしたのは、お洋服も靴も最初からおしゃれに整っている「ペルシャねこのお姉さん」でした。 私の中で少しだけ成長したmimiちゃんの姿を重ねたつもりだったのです。
けれど、お部屋で一緒に過ごすうちに、胸の奥で小さな違和感が静かに膨らんでいきました。「この子は……私の大好きな、あのmimiちゃんじゃない気がする」
そこで私はハッと気がついたのです。私にとってmimiちゃんは、心の中にずっと隠れていた「インナーチャイルド」、つまり幼い日の私自身だったのだと。傷ついた幼少期の記憶をあやし、癒やしてくれるのは、同じ目線で寄り添ってくれる「少女の姿(女の子)」でなければ意味がなかった。大人の姿では、私のインナーチャイルドは抱きしめられなかったのだと、身を以て知ることになりました。
運命の女の子との出会い
そうと分かれば、もう心の声に嘘はつけません。私はシルバニアの取り扱い店へと足を運びました。
シルバニアは一見すると同じ量産品のように思われるかもしれませんが、実はフロッキー(毛並み)の質感や、お耳の角度、目の位置によって、ひとつひとつ驚くほど表情が違います。特にペルシャねこちゃんは、もふもふとした毛並みの個性豊かな個体差があることでも知られています。
たくさんのシルバニアが並ぶ中で、パッケージの向こう側の一人一人のお顔をじっくりと見つめていた、そのときです。 ある一匹の「ペルシャねこの女の子」と、ふと視線が合いました。
その子の小さなの瞳は、まっすぐに私を映し返し、まるで内側から光を放つようにきらめいて見えたのです。直感で「この子だ」と胸が温かくなりました。回り道をしたけれど、やっと会えた。そう確信した瞬間でした。

小さな相棒をお仕立てする、安心の約束(How-to)
こうして始まったシルバニアとの時間は、私の暮らしに新しい風を運んでくれたのです。この小さな新しいmimiちゃんを、より「うちの子」らしくお仕立てするために、私は自分の手でドレスを縫うことにいたしました。
シルバニアの仲間たちをお迎えして、自分だけのお洋服を作ってあげたいなと思われている方へ、大人のファンとして知っておきたい優しいルールをそっと共有いたしますね。
ハンドメイドの自由とマナー:
シルバニアファミリーは、個人が自分で楽しむためのハンドメイド(お洋服作り)を、公式に広く温かく認めてくれています。ただし、手作りしたお洋服を販売するような商用利用は、公式の意向からも避けていただくのが望ましいようです。個人で愛でる範囲で楽しむのが、大人のシルバニアとの時間における優しいマナーだと思います。公式のガイドラインを一度ご確認いただくと、より安心です。
私を支えてくれた、一冊の型紙本:
「小さすぎて、どう作ればいいか分からない」という方には、公式の型紙本がおすすめです。私は『シルバニアファミリー着せかえソーイング』という本を参考にいたしました。
ひと針ずつ、過去の私を抱きしめるように
お気に入りの温かいハーブティーを机に置き、湯気の向こうで、まだ何も纏っていないシルバニアのmimiちゃんをそっとそばに置いて。
針が布を通る小さな音と、リバティ生地の柔らかな手触りが、私の心を静かに満たしてくれました。胸元が少し寂しい気がして、「ピンクトルマリンの宝石をつけてみようか」と、ひとつひとつのデザインを彼女と対話するように選び、何度も試着を繰り返しながら、ひと針、ひと針、ゆっくりと手縫いを進めていきました。
ピンクの花柄のリバティ生地。胸元できらめく本物のピンクトルマリン。裾には繊細なレースとフリルをたっぷりとあしらって。彼女のイメージである薔薇の花に合わせた、小さな薔薇のベレー帽。その先には、朝露をイメージした水晶の雫を一粒、そっと縫い止めました。
完成したドレスを纏ったシルバニアのmimiちゃんを手のひらに載せた瞬間、深い安らぎが私の心の隅々まで満ちていくのを感じました。子供の頃、欲しくても手を伸ばせなかったあのお人形が、大人になった私の手によって、世界で一番贅沢なドレスを着てそこにいる。愛情を込めて作ったドレスは、私と彼女を結ぶリボンとなり、本当の意味で「うちの子」になってくれた瞬間でした。

おわりに|今からでも、いつでも大丈夫
きっと、この記事を読んでくださっている方の中にも、かつての私と同じように「子供の頃にシルバニアで遊べなかった」「本当に欲しかったものを買ってもらえなかった」という寂しさを、今も小さなトゲのように胸に残している方がいらっしゃるかもしれません。
でも、どうか諦めないでくださいね。今からでも、遅すぎるなんてことは決してないのです。 大人になったからこそ、上質なリバティの生地を選び、本物の天然石を添えて、自分の手で最高のお洋服を作ってあげるという、豊かな「癒やしの時間」を愉しむことができます。
大人になった私たちが、自分の手で、あの頃の小さな自分を救いに行く。それもまた、ドールが教えてくれる最高のセラピーなのだと思うのです。
あまり難しく考えすぎず、あなたと、あなたの中にいる小さな相棒のために、優しい時間をプレゼントしてあげてくださいね。
cocoみなさまとドールの毎日が、優しくありますように
mimiおやすみなさい。良い夢を



